灰谷健次郎原作、浦山桐郎監督の子供向け映画「太陽の子 てだのふあ」をおとといの月曜に見た。映画館ではなく、横浜市の藤棚町の県民図書室で見た。その会議室でひとり16ミリ映写機を回したのだが、2時間20分の長編でフィルムは3巻。途中巻きなおしをしなければならず、ゆうに3時間を越える鑑賞会となった。(この一人で映写機をまわしてフィルムの映画を見るというのはおつなもので、以前にアンジェイ・ワイダ監督の「灰とダイヤモンド」を図書館で借りて高校で見たことがある。)(あの時もしくじった。「灰と…」は危うく本当に灰にしちまうところだったが、(リードのフィルムを焦がしただけですんだが、)今度はフィルムをきってしまった。とんだどじをしたもんだ。(スクリーンにきちんと投影しようとして、調整するため映写機を持ち上げていたら肩でリールを押さえる形になって、フィルムが弛み、その後回転とともにピンと張られて、ぷつと切れた。(いやはや)
「太陽の子 てだのふあ」1980年 太陽の子プロダクション カラー 140分
監督:浦山桐郎、出演:原田晴美(新人)、河原崎長一郎、大空真弓、当山全拡、黒田絢子、石橋正次、知名定男、大竹しのぶ
このドラマの主人公は小学校6年生のふうちゃん(太陽の子)だ。舞台は神戸の下町。両親とも沖縄出身。沖縄料理の大衆食堂を営んでいる。しかしおとうさんが心の病気に罹って具合が悪い。どうやら昔体験した沖縄戦の記憶がトラウマになっているらしい…。そこでふうちゃんはおとうさんの心の奥底にある本当のことが知りたくて、沖縄について学び、大人たちに沖縄について教えてもらおうとする。
映画は、ふうちゃんと戦争の傷を抱いて生きる沖縄の大人たちとの関わりを描きながら、ふうちゃんの目を通して、差別の中にある沖縄の過去と現在を浮かび上がらせていく。
沖縄の人々が舐めた辛酸と今もなお胸に刻まれた痛烈な思いを多くの人々に伝えようとする映画だ。
公開は1980年というから、いまから27年前の映画だ。四半世紀前の古い映画だ。しかし、この映画が伝えようとするテーマは少しも古くない。
沖縄の思いは依然として変わっていない。
今年、沖縄戦での真実を捻じ曲げようとする国の教科書検定意見に対して抗議する沖縄県民の集会はなんと参加者11万人を超えた。
映画では、沖縄出身の青年ぎっちょんちょんがふうちゃんの担任の先生にこう言うくだりがある。「先生、沖縄のことよーく教えてくださいよ。それが日本がよくなる近道ですから。」
それから27年経った。しかし、日本はちっともよくなっていない。いやむしろ悪くなっているかもしれない。
私は思う。私たちは沖縄のことをもっとよく教え、学び、知ろうとしなければいけない。
(続く)